『ストーリー&テリング』松久淳+田中渉

またまた登場コンビ作家の『ストーリー&テリング』ですが、裏のあらすじのところには『ラブコメ』シリーズ第2弾とある。フーン、『ラブコメ』ってシリーズ物だったんだ。脇役…といっていいのかアモーレブラザーズだとか、アロハ寿司だとかは出てくるし、ちょろっと『ラブコメ』の主人公たちも出てくるし、シリーズ物といえなくはないか。まぁ、登場人物や舞台は違うんで、『ラブコメ』を読んでなくても十分に楽しめる作品です。


『ストーリー&テリング』は30代半ばのシングルファーザー・マザーの物語ですが、帯のフレーズがいいじゃあないですか。

これからずっと私のこと、おなかの中で馬鹿にしてもかまわない。だからお姫様だっこしてしい。

もうこれだけでトキメキ感が普段の3倍にあれ、ならないですか?ちょっとおかしいんじゃないの?
内容としては、もうtheラブコメです。『ラブコメ』に引き続きね。主人公たちが30代なので、大人なラブコメといった感じで楽しく読めます。でも、そうおもしろく感じさせるのは、文章が見事だからでしょうか。なんて言えばいいんだろう。あのー、あれだ(どれだ)、ラブコメのドラマかなんかを台本・解説付きで読んでる感じ。セリフだけじゃないところで笑わせてくれます。というより、この本自体がすでに映像作品に見えなくもない。そんな構成です。スタッフロールつきだしね。あとは何といってもマンガですよね。小説ミーツまんが。「なに言ってんだ」ですか。じゃあ読め。読めばわかるさ。


『ラブコメ』と『ストーリー&テリング』にはちりばめられた小ネタがあるのですが、元ネタわかるの少々、わからいないの大半。文庫化に際し巻末に辞典付けてくれたのは助かった。担当石川のところに世界の中心で何かを叫んだって書いてあったけど、石川のモデルが「あの人」ってことでしょうか、それとも「あの人」の担当ってことでしょうか。書いてあるニュアンス的にはモデルが「あの人」ととれるけど…。どうなんでしょうか。


とりあえずはこの後、読書は『ラブコメ』のほうに戻ります。

ストーリー&テリング (小学館文庫)

ストーリー&テリング (小学館文庫)