『どうでもいい歌』松久淳

おなじみの松久淳ソロの作品ですが、どーですかこのタイトル。『どうでもいい歌』。あらまあ、このブログにうってつけじゃないですか。


登場人物は作詞家・イラストレーター・俳優・スチールカメラマン・ゴーストライターの5人の男性。人と人とのつながりによって5人が結ばれていくわけですが、それはほとんど終盤です。そこまでは個々の物語と言っていいと思います(微妙に関連性はありますが)。


帯の文句「世の中には、小説やドラマには仕立てられない、中途半端な人々の物語が転がっている。その人にとってはとても大事で、しかし人から見ればささやかな、どうでもいい話の数々が。」実際にそうなのでしょう。世の中はどうでもいいことであふれかえってる。でも、当事者にとって、そのどうでもいいことはかけがえなく大切なものだったりする。往々にしてそんなもんです。


物語の主軸は5人になってくわけですが、家族の話でもあります。特には父と息子でしょうか。終盤、作詞家がどうでもいい歌から一歩も二歩も進んだ詩を書きます。これは、号泣です。えぇ、人目もはばからずに。まぁ家なんではばかる人目ないんですけども。ヨーホホホホホ。でも、ダメでした。我慢はできなかったっす。結局、この本が言いたいこと、伝えたい事は、この言葉に集約されるのでしょう。これも帯の文句ですが、「いつか、父になる、君へ」。たぶんワタクシもどうでもいい話をつむぎながら、いつか父になるのでしょうね。…なるのか?…なれんのか?

どうでもいい歌

どうでもいい歌